東京高等裁判所 昭和28年(う)2515号 判決
被告人 仙葉徹 外
〔抄 録〕
刑法第五十四条第一項前段の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に於て「其最モ重キ刑ヲ以テ処断ス」と定めているのはその数個の罪名中もつとも重い刑を定めている法条によつて処断するという趣旨と共に他の法案の最下限の刑よりも軽く処断することはできないこと即ち数個の罪について刑を定めるには各法条中の法定刑の最上限も最下限も共に重い刑の範囲内において処断すべきものとする趣旨であることは既に最高裁判所の判例(昭和二七年(あ)第六六四号昭和二八年四月一四日最高裁第三小法廷判決)とするところである。
然るに原判決が判示第二につき公務執行妨害の罪と傷害の罪とを刑法第五十四条第一項前段の一所為数個の関係にあるものとして処断するに当り重い刑を定めた傷害の罪の法条によつて処断したのは正当であるが公務執行妨害の刑が三年以下の懲役又は禁錮と定められ罰金の定めがないのにかかわらず傷害の罪につき定められた罰金刑を選択しその範囲内でその定めがあるのに従つて被告人両名を各罰金二万円に処したのは刑法第五十四条第一項の解釈を誤つた違法がある、従つて論旨は理由があり原判決は破毀を免れない。